Office Ton Pan Lar

Consideration of International Affairs by Office Ton Pan Lar

北大西洋条約機構(NATO)の配備に対応した一時的な措置

Newsweekは、2021年4月19日付けで、ロシアのウクライナ国境でのクリミア侵攻以来の軍備増強について記事を書いているが、北大西洋条約機構(NATO)の配備に対応した一時的な措置とのロシアのコメントは真実だと思う。ロシア側の立場にたってみると、ややこしい状態を引き起こしたのは西側ではないだろうかと考えるのだが。

 

 

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<国境に部隊を集結させた上、ウクライナの総領事をスパイ容疑で拘束。また戦争を始めるつもりなのか>

ロシアがウクライナとの国境地帯で軍備を増強していることに懸念が高まるなか、ウクライナ側司令官は、ウクライナ軍はロシア軍の攻撃に対して「準備ができている」と語った。ロシアとウクライナの緊張は国境付近だけではない。司令官がこのコメントを発する前、ロシアの情報機関である連邦保安局(FSB)は、ロシア国民から機密情報を受け取った容疑でウクライナの外交官を拘束したと発表した。ロシア軍はウクライナ東部の国境付近に数万人の部隊を集結させ、戦車やロケット砲、防空システムも配備している。ロシア政府は、軍の増強は北大西洋条約機構(NATO)の配備に対応したものであり、一時的な措置だと主張した。

 

だが今回の動きは、ロシアがウクライナの領土とされていたクリミアを併合した2014年のクリミア侵攻以来最大規模の増強であることから、ロシアが再びウクライナの領土を侵略するのではないかという不安が高まっている。ウクライナの合同軍作戦で副司令官を務めるヴィクトル・ガヌシュチャク少将は、配下の軍隊はロシアの次の動きに備えていると語った。英テレグラフ紙によると、「ロシア軍が攻撃するとしても、対処する準備はできている」と、ガヌシュチャク少将は国境の最前線近くで行われた記者会見で語った。「国境の向こう側で部隊と兵器が増加していることは認識しているが、確実なことはいえない」

 

 

「いかなる予測もできない。だがロシア側は、ウクライナ国境近くに多数の戦術部隊を集結させている」と、ガヌシュチャクは付け加えた。ロシアとウクライナの間にはただでさえ不信感がある。そこに起きたのが、サンクトペテルブルクウクライナ総領事館で、オレクサンドル・ソソニウク総領事が拘束されるという事件だ。FSBは17日、FSBと法執行機関のデータベースから機密情報を得た容疑でソソニウクを拘束したことを発表した。「外交官という立場にそぐわない行為であり、ロシア連邦に対して明らかに敵対的な性質が認められる」と、FSBは声明で述べた。ロシアは以前にスパイ容疑でウクライナ国民を拘束したことがあるが、外交官を拘束することはめったにない。ウィーン条約の下で、外交官には駐在国における免責特権が認められている。だが「法律違反や敵対的な行動をした場合」は、受け入れ国が「ペルソナ・ノン・グラタ(駐在国において望ましくない人物)」を宣言し、外交官として受け入れ拒否や外交官待遇の同意の取り消しをすることができる。ロシア外務省筋は国内有力紙コメルサントに、総領事は国外退去になる可能性が高いと語った。同紙は、「総領事がペルソナ・ノン・グラタを宣言されるのか、それともロシア国内滞在の継続は望ましくないという声明に留まるのか、それはわからない」という情報筋のコメントも伝えている。

 

ウクライナのエフヘン・イェニン外務副大臣は、ソソニウクが機密情報を受け取ったというロシア側の告発を否定。ソソウニクの拘束は、ロシア軍の増強を背景とした「乱暴な挑発」の一部である、と地元テレビ局に語った。一方、ウクライナ外務省のオレグ・ニコレンコ報道官は、ソソウニクの拘束に関する状況は調査中であり、政府は「対応を準備している」と語ったとロシアの通信社RIAノボスチは報じた。ウクライナ外務省の報道官は本誌に寄せた声明のなかで、「われわれは総領事に対する告発を絶対にありえないと否定する」と述べた。

この挑発への対抗措置として、ウクライナは、キエフにあるロシア大使館に勤務する上級外交官に対し、4月19日から72時間以内にウクライナの国外へ退去するよう通告した。