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「海上コンテナ3月輸送量、アジア発の米向け最高。巣ごもり消費で需給逼迫」~コンテナ運賃は未だ下がらないのか

2021年4月20日日経新聞海上コンテナ3月輸送量、アジア発の米向け最高。巣ごもり消費で需給逼迫」~コンテナ運賃は未だ下がらないのか

 

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アジアから米国に向かう海上コンテナ輸送の勢いが増している。3月の輸送量は単月で過去最高を記録した。昨夏からの旺盛な米国の巣ごもり消費の輸送需要で船のスペースや空コンテナの需給逼迫が続き、運賃も高止まりする。欧州行きもスエズ運河の船舶座礁事故の余波で運賃に再上昇の兆しが出た。世界の海上物流の混乱は解消のメドが立たない。


米調査会社デカルト・データマインがまとめた3月のアジア発米国向け海上コンテナ輸送量は前年同月の2倍の182万3737個(20フィートコンテナ換算)。単月で最高だった2020年10月(179万1180個)を上回った。前年同月より2桁以上多いのは8カ月連続。例年、輸送量が減る傾向にある3月に最高を更新するのは異例だ。


国・地域別にみると、中国発が前年同月の3倍の106万6298個。20年3月が新型コロナウイルス禍で11年ぶり低水準だった反動が大きい。ベトナム発が前年同月比70%増、タイ発が同64%増えた。2月に同44%減だった日本発も同18%増と2カ月ぶりにプラスに転じるなど、主要10カ国・地域全てで増えた。

品目別では、家具類が同2.1倍、玩具・運動具が2.7倍と、巣ごもり関連の旺盛さが続く。海運業界では、米バイデン政権による1人最大1400ドル(約15万円)の給付が消費をさらに後押しし、輸送需要を下支えするとの見方もある。

運賃も依然高い。上海航運交易所によると、上海発米国西海岸向けが4月上旬時点で40フィートコンテナ1個3931ドルと前年同期の2.4倍だ。昨秋以降4000ドル付近で推移し続け、当面は下落に転じる可能性は低い。

「4月も満船の状態。他の船会社に断られた荷物も流れてきているほどだ」。日本の海運大手の担当者は打ち明ける。高水準の荷物を受け入れる米西海岸では港湾の混雑や停船は解消されず、コンテナの国際需給が逼迫する悪循環もそのままの情勢だ。

足元では3月のエジプトのスエズ運河座礁事故の余波でアジア―欧州間も需給が引き締まる。通行止めされていた船が一斉に各港に到着したことで荷さばきの遅れなどが発生。船のスケジュールが乱れ輸送スペースが一時的に不足している。

混乱のあおりで、4月上旬時点のアジア発欧州向け運賃は20フィートコンテナ1個3964ドルと1週間で9%上昇した。欧州向け運賃は昨年後半、情報機器や自動車部品などの荷動き復調を受けて急騰。今年3月以降は下落していたが、座礁事故の混乱で反発した格好だ。

輸送需要が旺盛ななかで物流の混乱が長引けば、世界経済回復の足踏みに加え、運賃高止まりによる企業収益や物価への影響もそれだけ広がる。リスクは大きくなっている。